過去の勉強会活動内容 (肩書はいずれも当時)

 

★2024年1月16日(火)講師:石井 琢哉 様(セリオ国際特許商標事務所・パートナー弁理士) 

テーマ:「マーケティングや新規事業開発での特許情報の活かし方」

 

 今回は、セリオ国際特許商標事務所のパートナー弁理士である石井琢哉様をお迎えして、「マーケティングや新規事業開発での特許情報の活かし方」についてご講演いただきました。講師の石井弁理士は、これまで、特許出願や特許文献調査だけでなく、知財情報ランドスケープ、知財デューデリジェンス、事業性評価等、幅広い技術分野の知財が絡む調査・コンサルティングをされてきました。今回は、マーケティング、戦略検討、新事業開発などにおいて知財情報をいかにして活かすか、企業支援のご経験を踏まえてお話いただきたました。

 

★2023年11月14日(火)講師:山田 繁和 様(弁理士、山田デザイン保護弁理士事務所所長、東海大学総合科学技術研究所教授) 

テーマ:「中小企業の方のためのデザイン・マネジメント、ブランド戦略、知財ミックス戦略の検証」

 デザイン・マネジメント、ブランド戦略、知財ミックス戦略などは、大企業のみならず中小企業における企業経営、事業活動に欠かせないものです。これらのデザイン・マネジメントや商品ブランドをいかにして育てていくかなどは、商品の企画、販路開拓に重要性、有効性があることが分かっていても、とらえどころがなく、抽象的で曖昧に感じられるため実行に移すことが難しくなっています。

 今回は、元特許庁意匠制度企画室長、意匠課長、審判部34部門(意匠)審判長を歴任し、意匠法改正及びハーグ協定加入にも携わられた弁理士の山田繁和様にお越しいただき、デザイン・マネジメント、ブランド戦略、知財ミックス戦略について具体例を交えながらご講義いただきました。

 

★2023年7月11日(火)講師: 村岡 正和 様(株式会社BathTimeFish 代表取締役、株式会社神戸デジタル・ラボ 執行役員)

テーマ:「生成型AIの進化で知的財産業務はどう変わるか」ーChatGPTの進化事例から近未来の知的財産業務を考えるー

 近年のAI技術の進化により、ChatGPTをはじめとする生成型AIが登場し、世界に大きな波紋を広げています。かつてSFの世界で描かれていた人間と同等の対話をコンピュータが実現するという夢がついに現実になりました。この生成型AIは、産業革命に匹敵するインパクトをもたらすと言われています。産業革命が手織物から蒸気機関などによる自動織機へと生産方法を変革したように、今回のAI技術の進化は知的労働者の仕事をAIによって置き換える可能性があります。知的財産の仕事は情報を扱う知的労働であり、生成型AIの真価が発揮される分野です。そのため、知的財産業界への影響は計り知れません。そこで今回第1部では、AI技術のエキスパートである村岡正和様をお招きし、ChatGPTやその他の生成型AIの現状と今後の展望についてお話しいただきました。後半の第2部では、講演を踏まえて村岡様への質問とともに、皆さまとディスカッションしました。

 

★2023年5月9日(火)講師: 渋谷 高弘 様(株式会社日本経済新聞社 編集委員)

テーマ:「知的財産・日本の現状と課題」-新時代、敗北から逆襲目指せ-

 2023年度初回である5月9日は、「知財分析を経営の中枢に『IPランドスケープ』注目集まる M&A戦略に生かす」(2017年7月)の記事で有名な日本経済新聞社の編集委員である渋谷高弘様をお招きして『知的財産・日本の現状と課題 - 新時代、敗北から逆襲目指せ-』についてお話頂きました。

 渋谷様は、『特許は会社のものか』、『中韓産業スパイ』、『IPランドスケープ経営戦略』、『サステナビリティ・ガバナンス改革』など知的財産に関する書籍の執筆、ご講演も多数しておられ、知的財産に対する並々ならぬ情熱をお持ちの方です。

 日本経済新聞社で長く知的財産に関するニュースを取材して来られたジャーナリストの目線から知的財産の社会動向をお話し頂きました。

 

★2023年3月3日(金)講師: 稲穂 健市 様(弁理士、米国公認会計士〔デラウェア州 Certificate〕、科学技術ジャーナリスト、東北大学特任教授)

テーマ:「最新の知財トピックスから見た実務の展望」~重要事件、法改正を俯瞰する~ 

  コロナ禍やウクライナ危機により、各企業がおかれる環境も様々に変化しています。

 知財事件についても、インターネットビジネスに関する事件が増加するなど、単一の法令だけでなく様々な法的観点から提訴されているものが増えています。

 今回は、『 楽しく学べる「知財」入門 』 や 『 ロボジョ!杉本麻衣のパテントウォーズ 』 でおなじみの稲穂健市先生に最近の知財事件の動向から学ぶべきポイントを解説頂きました。

 

★2023年1月10日(火)講師: 増田 秀美 様(株式会社増田採種場 専務取締役)

テーマ:「知的財産を活用したこれからの農業ビジネスの展開」~品種開発からマーケティングまで~ 

  2003年に政府が「知的財産立国」を宣言し、「知的財産推進計画」が策定されました。その推進計画では、事業戦略、研究開発戦略、知的財産戦略の3つの戦略を組合わせた「三位一体」経営が推進されました。また、「三位一体」経営を推進するためには、「キャッチアップ型」から「フロントランナー型(市場創出型)」の企業への移行が求められています。この「三位一体」経営は大企業では実践されていますが、人、もの、金の資源が限られた中小企業では、なかなか実践できない問題があります。

 今回のセミナーでは、知的財産を活用した「三位一体」経営や「フロントランナー型」の経営を実践されている株式会社増田採種場の専務取締役増田秀美様をお招きし、「知的財産を活用した種苗メーカーの挑戦」をテーマにお話しいただきました。

 同社は、静岡県磐田市で90有余年の歴史を有する種苗メーカーで、プリヴェールやケール、キャベツ等に特化し、品種改良(品種開発)を行っている企業です。今回は特に、開発に10年を要したプチヴェールの開発秘話を中心に、単に開発した種苗を販売するのではなく、10年先の市場を創出すための自社農場でテスト栽培、知財活用とマーケティング分析に基づいたブランド戦略、価格設定等々、「フロントランナー型」の経営事例についてお話しいただきました。

 

 

★2022年11月1日(火)講師:長澤 健一 様(キヤノン株式会社 専務執行役員 知的財産法務本部長/経済安全保障統括室長、内閣官房 経済安全保障法制に関する有識者会議 委員)

テーマ:「経済安全保障と将来を見据えた知的財産戦略」

 本年2月に勃発したロシアによるウクライナへの侵攻は、“地政学リスク”という多くの日本人が忘れていた古典的な言葉を思い起こさせる機会となりました。そのような中、第208回通常国会で5月11日に経済安全保障推進法案(経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案)が可決成立しました。

 これは、米中新冷戦といわれるハイリスクな環境下でグローバルビジネスを展開する日本企業のビジネスマンにとって、経済合理性だけで戦略を判断しない“広い視野”と“高い見識”、グローバル・マーケットの将来性やグローバル・サプライチェーン企業の競争力進化などを見極める“先を見通す力”といった、これまで以上に高い実力が求められる時代になったものと思われます。

 そうした中、こうしたグローバルビジネス環境の激変を、自社、ひいては日本の産業を再興していく絶好のチャンスと捉え、知的財産業務に携わる人財こそが日本のビジネスを勝利に導く戦略上重要な立場にあるという意識のもと、新たな思考と行動が求められていくのではないでしょうか。 

 今回は、こうした時勢を踏まえ、内閣官房「経済安全保障法制に関する有識者会議」の委員であり、本知泉会の特別顧問でもある長澤健一様より、標記テーマについてお話頂きました。

 

★ 2022年10月4日(火)講師: 青木 博通 様(ユアサハラ法律特許事務所 パートナー・弁理士) 

テーマ:「インターネット、メタバースと商標」

 今回は、インターネット、メタバースと商標について、権利形成、権利侵害についてお話いただきました。

 

★ 2022年7月5日(火)河野 英仁 様(河野特許事務所 所長・弁理士) 

テーマ:「中国専利法第4次改正と実務上の注意点」

 2020年10月17日に中国全国人民代表大会常務委員会会議にて中国専利法第4次改正が成立いたしました。2008年の中国専利法第3次改正から12年ぶりの改正であり、特に、損害賠償額の引き上げ、部分意匠制度の導入、開放許諾制度の新設など、中国とビジネスをする者にとって非常に影響を受けるものが含まれております。

 

 今回は、中国への留学、中国特許事務所での勤務のご経験もあり、中国専利法に精通されている弁理士の河野英仁先生をお招きして、中国専利法第4次改正と実務上の注意点につきましてご講義をいただきました。

 

 

★ 2022年5月10日(火)講師:藤原 康高 様(弁理士 スズキ株式会社 知的財産部 専門職 部長) 

テーマ:「インド特許制度」

 自動車業界において新しい市場の開発や新しいコンセプト車種の創出等、特異な存在で先進的な企業経営を行っているのがスズキ株式会社です。また、同社はいち早くインドに進出し合弁企業を設立、同地で自動車の開発と生産を行うことで現地に根差した企業として活動されてます

 今回は同社の知的財産部 専門職 部長の藤原様をお招きし、インド特許法の概要や、インドにおける同社の知的財産活動について、事例を交えてお話しいただきました。

 

 

★ 2022年3月8日(火)講師:高部 眞規子 様(西村あさひ法律事務所 弁護士, 元知的財産高等裁判所長)

テーマ:「知的財産訴訟における損害賠償額の潮流」

 液晶テレビ「レグザ」での知的財産訴訟における損害賠償額に見られるように、近年の知的財産訴訟では以前よりも損害賠償額が高額化しつつある印象を受けるということを耳にするようになってきました。その一方で、損害賠償額が高額化しているのではなく、いつの時代でも知的財産権の価値を適正に評価しているにすぎない、という意見もあります。

 本当に、損害賠償額が高額化している時代の流れなのか。原告、被告のいずれの立場でも損害賠償額がどのくらいになるかについては決して見過ごすことができない非常に重要な問題であり、知的財産訴訟において、どのようにすれば有利に進めることができるのか。

 今回は、2018年から2020年まで知的財産高等裁判所長を務められ、現在は弁護士である高部眞規子先生をお迎えして、知的財産訴訟の時代の流れ、知的財産訴訟における企業が意識すべき戦略、実務について、お話頂きました。 

 長年、知的財産訴訟に携わってこられた髙部先生ならではのご意見を頂けました。

 

★ 2022年1月26日(火)講師:新井 信昭 様(新井・橋本・保坂国際特許事務所 弁理士)

 テーマ:「iPod特許侵害訴訟」について 

 新井先生の著書の「iPod特許侵害訴訟」は、アップルに特許侵害訴訟を提起し勝ち抜いた個人発明家、代理人の弁護士の方へのヒアリングも含まれており、特許出願から訴訟までの追体験が出来る良書です。

 下町ロケットがフィクションであるのに対し、「iPod特許侵害訴訟」は実際の事件を題材にしたノンフィクションです。当事者からヒアリングができたからこそ知ることができる裏話についてもお話していただきました。

 また、現在の特許侵害訴訟では損害賠償金が高額になる傾向にありますが、このような中、仮にiPod特許侵害訴訟が現在提起されたとしたら損害賠償金の額は変わるのかどうか、についてもディスカッションしました。

 

★ 2021年11月18日(木)講師:佐田 洋一郎 様【特別企画講座】
(国立大学法人山口大学 大学研究推進機構 知的財産センター東京所長 弁理士)

 テーマ:元審査・審判経験者が語る教科書には出てこない特許取得のノウハウ

審査側・出願側の両方の経験を持つ佐田先生による特許取得講座を開催しました。

 

★ 2021年9月14日(火)講師:扇谷 高男 様((一社)発明推進協会研究所長)

 テーマ:IPランドスケープを提案してみよう!! 

 知財情報の収集や分析、IPランドスケープなどについては、セミナーや成功事例の紹介などがいろいろなされています。これらの話を聞くことは大変参考になるのですが、さて、自分の会社でどう生かせるのか、どう経営を動かせるのか?と考えたときに、なかなか実活動に結び付けにくいこともあるように思います。

 今回は、発明推進協会研究所長の目線からIPランドスケープについて語って頂くとともに、演習やディスカッションを交えて、実際に社内で経営陣に提案するなど実践につなげる途を探りました。

 

★ 2021年7月20日(火)講師:平山 賢太郎 様(平山法律事務所 弁護士・九州大学法学部准教授)

 テーマ:独占禁止法と知的財産法の関係に関する基本的な考え方

 独占禁止法というと「独占の禁止」を目的とする法律という印象を持つ方も多いのですが、実は「公正取引の確保」のための法律であり、日本からこの法律を輸入した韓国では公正取引法と呼ばれていることなど、冒頭にご紹介頂き、この法律と知的財産法は相反するものではなく、特許法の目的である「産業の発達」を独占禁止法が公正取引の観点からサポートするという、両法律の関わりを学ぶことができました。

 特に、公正取引委員会から発行されているガイドラインは読むだけではなかなか理解しづらいのですが、実例やその考え方から説明頂くことで、会員各位の理解もより具体的になったと思います。平山先生は、発明推進協会発行の「発明」誌にも本テーマについて連載記事を執筆されている他、7月下旬に中間報告が発表された経済産業省の「標準必須特許のライセンスを巡る取引環境の在り方に関する研究会」にも委員として参加されるなど、幅広く活動されています。

 

 本テーマは以前知泉会でもとりあげたライセンス契約についても関わりの大きいものでありますので、引き続き会員の皆さんと論議する場を継続したいと考えます。

 

★ 2021年5月11日(火)講師:村岡正和 様(株式会社 神戸デジタル・ラボ 執行役員)

テーマ:DX(デジタルトランスフォーメーション)の本質とは

 今回はDXを実践されている専門家より、DXを推進していくうえでの本質的なお話を頂きました。

 DXと単なるIT導入の違い、DXを企業の組織力としていくために必要なことをお話頂きました。

 今回は半分以上の時間を質疑応答・ディスカッションとし、単に「DX」というテーマだけを考えるのではなく、社会で起きている変化の本質を考える機会になりました。

 

★ 2021年3月12日(金)講師:荒井 寿光 様(知財評論家・元特許庁長官)

 【特別企画講座】「米中知財戦争と日本の戦略」

  「知財立国」宣言から約20年、日本はどう歩んできたのか、第 4 次産業革命が進行し、米中経済戦争が激化する中で、今後日本のとるべき道は?

 長年に渡り日本の知財政策をリードしてきた荒井様は、近年の米中経済戦争は「米中知財戦争だ」と喝破しています。この激変の時代に日本がとるべき知財戦略は何かを、熱く語って頂き、講演後には参加者との熱心な質疑応答をして頂きました。

 

★ 2021年1月12日(火)講師:酒井 美里 様 (スマートワークス株式会社 代表)

               野崎 篤志 様 (株式会社イーパテント 代表取締役)

 知財情報調査スペシャリストのお二人による対談

 「これからの時代における情報発信の進化について」

 今回は完全なオンライン開催で、知的財産情報調査のスペシャリストである酒井先生と野崎先生をお招きし、先生方が取り組まれている情報発信を例に、これからの時代の情報発信はどう進化していくべきか講師のお二人の先生方とともに議論いたしました。

 第1部(18時30分~19時)では、先生方による情報発信の取り組みをそれぞれお話していただきました。酒井先生には、情報発信を始めたころのお話からから現在の情報発信の方法、何を目的として情報発信するか、人に会う機会が少ないからこその情報発信の大切さなどをお話いただきました。野崎先生には、今までの情報発信の展開、自らの失敗を踏まえて情報発信を失敗しないためのコツ、情報発信の重要性などをお話いただきました。

 第2部(19時~20時)では、お二人の先生方による対談および参加者の皆様との質疑応答を行いました。情報についての感度が高いお二人の先生ならではの少々マニアックな対談となり、通常のセミナーでは絶対に聞くことのできない内容となりました。対談中にはチャットでの質問も多く入り、随時質問にもご回答していただくことができました。リアルのセミナーでは対談中の質問は対談の流れを遮ってしまいますが、チャットでの質問は対談の流れを遮ることなくできるのでオンライン開催ならではの有効な方法と思います。

 正規のセミナーの終了時間後(20時~20時30分)では、講師の先生方を交えたフリートークを行いました。フリートークの時間では、セミナーのテーマとは外れた質問についても丁寧にご回答いただき、和気あいあいとした時間を講師の先生方と過ごすことができました。リアルな開催であれば懇親会を行ないセミナーの時間ではお聞きすることを躊躇するような質問もできるのですが、懇親会ができない状況下、講師の先生方とのふれあいを模索しながらオンライン開催での新たな試みとなりました。

 

★ 2020年11月10日(火)講師:大坪 和久 様(『パテントサロン』管理人、サイテックシステム有限会社 代表取締役社長)

 「パテントサロンの創業経緯とこれから」

 知財の仕事をしている人であれば知らない人はいない知財情報サイト「パテントサロン」ですが、実は、パテントサロンとは意外な偶然とご縁から創業されたものであることを知りました。

 大坪様が目指しておられるのは、「誰かが勝って誰かが負けるではなく、みんながハッピーになる、Win-Winの関係になる」ということであり、それで「ありがとう」と言ってもらえることなのだそうです。

 パテントサロンは起業当初の構想にはなかったものだったそうですが、大坪様が起業した時から一貫して変わらぬ思いが、このゴールである「ありがとう」と言ってもらえることなのだと思います。

 そして、この「Win-Winの関係」「みんながハッピーになる」という考え方は、まさに現代のオープンイノベーション時代に求められている考え方ではないでしょうか。

 ウイズコロナの時代を乗り越えて、これからパテントサロンはますます進化されるでしょう。

 このコロナ禍において久しぶりに壮快感を感じ、我々も見習って進化し続けて行かなくてはいけないとポジティブな気持ちになりました。

 

★ 2020年9月8日(火)講師:川崎 真一 様(株式会社KRI 代表取締役社長)

「受託研究だからこそ分かる最新技術・知財トレンド」

 -これから蓄電デバイス技術はいかに進化し、どのような未来をもたらすか-

 EVやスマートデバイスなど、蓄電池の進化が社会を大きく変えてきたといえます。

 今回は受託研究を事業とされる株式会社KRIよりお招きして、蓄電デバイス技術の進化の方向性についてお話頂きました。

 KRIという会社は、蓄電デバイスに限らず、幅広い領域で研究開発を受託されており、まさにオープンイノベーション時代における注目の企業といえます。

 受託研究の会社といえば、研究開発成果である特許の所有を強く主張されるイメージがありますが、KRIでは基本的に研究開発成果は委託先企業が所有するそうです。

 今回の知泉会セミナーでは、質疑応答に時間を割いて頂き、非常に活発なディスカッションの場となりました。

 

★2020年7月7日(火)講師:扇谷 高男 様((一社)発明推進協会研究所長)

「知的財産マネジメント入門講座補講」

新型コロナウイルス感染拡大により活動を自粛してきましたが、半年ぶりに知泉会セミナーを開催しました。

現状、まだ外出、出張に制限がある方も多いと考えられますので、発明推進協会様のご協力により知泉会で初めてのリアル+オンライン併用セミナーとなりました。

内容は、先般、発明推進協会様のWEBサイトにアップロードされたオンラインセミナーの内容について発明推進協会 アジア太平洋工業所有権センターの扇谷センター長より、オンラインセミナーの内容の背景や事例についてより詳細にお聞きしつつ、不明点等についてディスカッションする機会を頂こうということとしました。

ディスカッションは盛り上がり、大変有意義なセミナーとなったと思います。

 

★ 2020年1月21日(火):松下 昌弘 様(IPP国際特許事務所所長 弁理士)

『AIと特許の基礎』-AI特許の取得の仕方、AI特許の審査基準-

 第三次AIブームの影響もあり、AI関連発明の国内特許出願件数は、2014年以降急増しております。特許庁では、AI関連技術に関する特許審査事例を作成し、特許・実用新案ハンドブックに追加していますが、ハンドブックを読んだだけではAI関連技術についての特許を理解することは難しいものがあります。

 今回は多数のセミナー講演を行っているIPP国際特許事務所・所長弁理士の松下昌弘様をお迎えして、発明該当要件、明細書記載要件、進歩性要件などのAI特許審査事例についてご説明いただくとともに、AI分野において実際に特許となった事例、AI分野の発明発掘、AI分野の特許出願のポイントなどにつきまして教えていただきました。

 

 質疑応答では受講者から多くの質問が飛び交い充実した時間となりました。また、セミナー後の懇親会でも松下弁理士を囲み、さらなる意見交換をすることができました。

 

■ 2019年11月12日(火):池村 治 様(味の素株式会社 理事 知的財産部長)

『味の素株式会社におけるオープンイノベーションに向けた知財戦略の現状と課題』

  今後の日本経済の発展には、「つながる」ことが重要で、そこに知財関係者が期待されていることは非常に大きいと言われています。
  オープンイノベーションについては、M&A、スタートアップ支援、産学連携など様々な形態の連携活動が進められております。
  今回は、数多くの連携活動を実践されている味の素(株)様の池村知財部長より、様々な形態の活動事例の紹介と、それを推進する知財部門の役割と課題について教えて頂きました。
  インバウンド、アウトバウンド様々な立場での知財戦略の実践が期待されている知財関係者にとって、大変有意義なお話を頂けたと思います。
  セミナーでも皆様から多くの質問を頂きましたが、懇親会でも池村部長を交えて多くの意見交換をすることができ、大変充実したセミナーとなりました。

 

 

■2019年9月10:武藤 謙次郎 様(イノベーションリサーチ株式会社 取締役副社長)

            (AIPE認定 シニア知的財産アナリスト)

『ビジネスに効く知財情報の活用法』 ~特許情報をどう活用すると、どういういいことがあるのか~
  知的財産が絡む経営判断に資する判断材料として、知的財産情報の分析結果が重要だとは理解しながらも、専門の分析担当者を置けず、そのためノウハウも蓄積されておらず、苦慮なさっている中小企業も多いようです。
そこで今回は、知的財産情報の分析とその活用法について、企業から情報分析を請け負うプロの視点でお話頂きました。
 企業から依頼を受け、知的財産情報分析の一連のサイクルを何周も繰り返して戦略を深化させる際に苦労するポイントは、依頼側企業が有効な成果を得るために留意すべきポイントとしても理解できました。
特許情報分析に関しては、情報収集時の検索式策定手順から収集情報整理に際してどういう目的でどんなグラフを作りそれらを経営判断する者に向けてどう見せるかまで、多くの図を使って具体的にご説明頂きました。
 また、分析結果が経営判断材料としての有用性を高めるために、特許情報と組み合わせる情報(ターゲット企業の動向やマーケット情報、ビジネス上の規制や慣習・ルール等)について専門性の高い部門も巻き込んで分析・提言すべきという点も、すぐに実践できるアドバイスでした。
 全体を通して、専門の調査分析担当者でなくてもある程度の調査分析の方針が立てられる、あるいは効果的に外部への調査分析委託ができるための、実践的知識をお話しいただけたと思います。

 

■2019年7月9:明里 正殻 様(メタルテープ代表 デザイナー)

『デザインに求められていること』
 今回は、プロのデザイナーから「デザインの価値」についてお話頂きました。
デザインの持つ基本的な価値から、UI(ユーザー・インターフェイス)とUX(ユーザーエクスペリエンス)の本質について、極めて論理的に語って頂きました。
 感性を刺激するデザインの世界が実は理論的に構築されていることを学びました。
 デザインとは模倣されてこそ価値があるもの。その模倣されるほどに価値のあるものを模倣されないよう守るのが知財部門の役割ですね。 

 

■2019年5月15:知念 芳文 様(メリットパートナーズ法律事務所 代表弁理士・弁護士)

『知的財産契約の勘所』~ビジネスを有利に進める実践的な思考プロセス~

  実務上締結頻度の高い秘密保持契約書等を題材に知的財産契約を締結するに際しての留意すべき点、ポイントをお話いただきました。

 とくに、ビジネスの流れ、目指すリターンの内容を良く理解して、契約書の内容に盛り込むことの重要性、契約者同士のバランスの重要性など、ご経験を踏まえた内容であり、また、契約書に対する心構えについても教えていただきました。

 また、秘密保持契約書のテンプレートを配布され,仮想事例を題材にして、具体的な事案の特殊事情をどのようにテンプレートに落とし込んでいくのかについて、一つ一つ丁寧にご説明いただきました。秘密保持契約書に馴染みのない参加者はもちろん、秘密保持契約書について経験のある参加者にとっても非常に勉強になりました。

 1時間30分という短い時間にもかかわらず,多くの内容についてご説明いただき、非常に有意義な時間となりました。 

 

■2019年2月12:工藤 周三 様 (iPSアカデミアジャパン株式会社 取締役ライセンス部長

「新しい医療を切り拓くiPS細胞技術の特許ライセンス戦略」 

 医療革命をもたらすといわれているiPS細胞の技術は、今まさに急速な進化の途上にあります。

 今回の講演は、その研究開発成果である特許を戦略的に広くライセンスすることが技術の進化と普及をもたらすのだということを実感できるお話でした。そして、そのライセンス活動において、様々なライセンス・スキームの工夫がなされている実例も紹介頂きました。

 この技術が普及することで難病で苦しむ多くの人を救済することになり、まさに特許が産業の発展に寄与する象徴的な事例であったと思います。 

 

 

 

■2018年11月5:長澤 健一 様 (キヤノン株式会社 常務執行役員 知的財産法務本部長)

「次の時代の知的財産 ~IoT/AI時代を生き抜くために~」

 AIやIoTといったコンピューター・テクノロジーの急速な進化、業界・業種の垣根を超えた競争というように、産業界を取り巻く環境は高度に複雑化してきています。

 長澤様には、このような環境下において企業では「協調」と「競争」を最適に組み合わせた高度な知財戦略が求められること、各国の市場に照らして今後の日本の知財戦略はどうあるべきか等、具体例を示してご教授頂きました。

 また今回のお話は、知財戦略の域に留まることなく、日本企業がで今一度「夢を描く」ことの大切さも気付かせて頂きました。

 セミナー後の懇親会には当初の予定を大幅に超える人が参加しました。これは、長澤様の数々のメッセージに込められた情熱を各自が自分なりに受け止められた結果だと思います。

 

■2018年10月1:三村量一 (長島・大野・常松法律事務所パートナー弁護士

「知的財産訴訟の実際」

  知的財産訴訟において裁判官の方がどのように考えているかについては裁判官でなければわかりません。今回は元知財高裁判事の三村量一先生に、裁判官の観点から訴訟に勝つための多大なアドバイスをいただきました。

 知的財産訴訟のご経験が豊富な先生ならではのお話であり、とくに、良い訴状の書き方、良くない訴状の例などを具体的にお話くださり、今後の実務に非常に役立つ内容でした。

 また、裁判の裏話的なこともお話していただき,貴重な機会を得ることができました。

 懇親会においても,受講者の質問に丁寧にお答えいただき、非常に有意義な時間となりました。

 今回のセミナーは、単なる法律知識の理解だけでなく、大きな時代の潮流を感じとることができる貴重な機会でした。

 

■2018年9月4:青木博通 (ユアサハラ法律特許事務所パートナー弁理士

「自社製品のデザインを模倣から守る知財活用戦略」 ~ミックス・アンド・マッチ戦略~

 商品差異化、競争優位のモノづくりを実施する上で、物品のデザインはますます重要になってきています。その重要なデザインを保護するには、意匠権だけでなく、立体商標のような商標権、また著作権や不正競争防止法といった法的権利および法律をうまく組み合わせる戦略がいかに有効かが理解できました。

 そして今後、こうしたデザインによる競争力確保とその保護の動きはモノづくりに留まらず、サービス業などの幅広い業界にまで拡大していくのでしょう。これからはマーケティング戦略を踏まえた知的財産戦略も意識していかなくてはいけませんね。

  

■2018年7月17:野崎篤志 (株式会社イーパテント 代表取締役

「知的財産情報の効率的な収集と分析」 ~こんな簡単な作業でここまで分析できる~

 今回は日本のモノづくりを支えてきた中小製造企業での知的財産管理として依然重要な知的財産情報の収集と分析を、専任の調査分析担当者でなくても、比較的短時間かつ低コストである程度まで実施できることを、その場で実際に、J-PlatpatからExcelへ情報を取り出してグラフ化しながらご説明いただきました。

 また、情報収集や分析について無料で使えるサイトのご紹介もいただきました。

 ご参加いただいた皆様からは、「思っていたよりも簡単に、かなりのことまでできることを知れたのは大きな収穫。早速自社に持ち帰って実践したい。」との感想をいただきました。

 会場は予定数が満席となり、あっという間の90分でした。

 

 ■2018年5月16日:上條由紀子 (特許業務法人 太陽国際特許事務所 弁護士)

「知的財産及び標準化のビジネス活用」

 今回は、太陽国際特許事務所 弁理士の上條由紀子先生をお招きして、「知的財産及び標準化のビジネス活用」をテーマにご講義いただきました。

 「標準・標準化とは何か」「標準化のプロセス」といった基本事項から、知財及び標準化のビジネス活用におけるメリット、デメリットまで具体的事例を交えながら詳細にお話しくださいました。

 特に、中小企業でも国際標準の取得・活用が可能な場合があり、標準と知的財産権の両者を組み合わせたビジネスモデルを構築することで競争優位に立ち得る、とのご指摘は、中小企業の方々も勇気づけられたのではないでしょうか。

 

 また、実際に標準を取得する場合の裏話などもお話していただき、知的財産及び標準化のビジネス活用について理解することができました。

 

 

 ■2018年3月13玉田俊平太様 (関西学院大学 専門職大学院 経営戦略研究科 教授

「破壊的イノベーションの起こし方」

 今回は発明推進協会共催セミナーとして、関西学院大学の玉田俊平太先生より「破壊的イノベーションの起こし方」をお話頂きました。

 イノベーションの定義から丁寧に解説頂き、優良大企業から見れば“取るに足りない”と思われる企業の製品・サービスによって自社のビジネス・市場が破壊されるかもしれない破壊的イノベーションの脅威についてお話頂きました。
 聴講者の皆さんは、この話を聴いて、「我々も逆転できるチャンスだ」と捉えたのか、「うかうかしていると我々の事業が食われてしまう脅威だ」と捉えたのか、どちらでしょうか。
 色々な示唆に富んだ事例の説明が随所にあり、大変参考になるとともに、終始明るい雰囲気の中、3時間という時間を感じさせない講演でした。 

 

■2018年3月6服部博信様 (中村合同特許法律事務所 パートナー弁理士)

「米国特許出願を突然指示されたら?」

 今回は,中村合同特許法律事務所のパートナー弁理士の服部博信先生をお招きして、「米国特許出願を突然指示されたら?」をテーマにご講義いただきました。

 米国の特許制度には、日本の特許制度には存在しない特有の制度、考え方があり、それらの特有の制度、考え方について、非常にわかりやすく、丁寧にお話いただきました。

 とくに、一つのミスが命取りになるような事例、ミスを防ぐ手法、ミスした場合の対処の仕方など,事例を交えて教えていただき、教科書からは決して知ることのできない実務上のテクニック、心構えなどについてもご教示いただきました。米国特許出願についての初心者の方のみならず、中級者、上級者の方にとっても、非常に勉強になる内容でした。

 

■2018年1月15丸島儀一様 (丸島特許事務所 所長弁理士、元 キヤノン株式会社 専務取締役)

「ビジネスを強くする知的財産の本質」

 今回は、元キヤノン株式会社の丸島儀一先生をお招きして、「ビジネスを強くする知的財産の本質」をテーマにご講演頂きました。今回のご講演では、丸島先生がこれまでどのような姿勢で仕事をして来られたかをお話頂き、知財では「相対的知財力」という考え方のもと規模が小さな企業の方が大企業よりも有利であるという「ひとり知財」への応援メッセージともいうべき言葉を頂きました。丸島先生のお話を聴いて、常に将来を見据えて考え行動することの重要性を痛感いたしました

 また、丸島先生からは「知的財産権とは独占排他権だからこそ面白いと考えるべき」「これからの知財人材は、事業全体を俯瞰して企業戦略を踏まえたうえでの事業戦略を考えることができる人材にならなくてはいけない」という全ての知財マンに対するメッセージを頂きました。そのためには、常に事業部門、技術部門と連携し情報を共有していかなくてはいけませんね。
現代のビジネス環境は複雑化してきています。一企業だけでビジネスに勝つのは難しい時代となりました。丸島先生からは、この複雑化の時代に応じた知的財産の有り方についてもお話を頂きました。改めて、我々はビジネスと知的財産の有り方について発想を変えていかなくてはならないと思いました。
今回のご講演では、知識だけでなく、この変化が激しくビジネスで勝つことが難しい時代において我々が前へ進んで行くための“勇気”を頂きました。

 

 

■2017年11月7日:白洲一新様(白洲知的財産権事務所・所長弁理士)               

「中国企業への技術の取扱い」

 今回は、白洲知的財産権事務所の所長弁理士 白洲一新様をお招きして、中国企業への技術の取扱いについてご講義いただきました。

 日本から中国へ国境をまたがる、技術を伴う製品の輸出や技術のライセンス等には、契約法ではなく「技術輸出入管理令」が適用されてしまうリスクがあることをご教示いただきました。そして、そのリスクに対処する方法のひとつとして、第三国(例えば台湾など)にある企業をうまく使うスキームを紹介していただきました。

 また、中国へ技術供与をする際には、そもそも日本と中国では根本的な考え方に違いがあることを念頭におく必要があると、非常にわかりやすい事例を交えてお話いただきました。

 終盤には、中国での立証が難しい先使用権の代わりに、実用新案制度を活用した「先行技術の抗弁」を利用する手法も教えていただき、大変勉強になりました。

 

 

■2017年9月5日:三原秀子様(三原特許事務所所長弁理士、元 帝人(株)知的財産部長) 

「知財活動の留意点-外国企業等との知財経験から-」

 今回は、三原特許事務所三原秀子所長弁理士(元 帝人(株)知的財産部長)にお越し頂き、「知財活動の留意点~外国企業等との知財経験から~」というテーマで、海外の企業や事務所等との知財活動の各場面での留意点を、三原様の失敗談含めた経験に基づいたお話頂きました。

 海外との共同研究・共同出願そして契約に始まり、権利化そして活用面のライセンス交渉、特許庁・裁判所との対応まで、ご自身の現場で身をもって感じられたことを詳細にお話頂きました。

 例えば、共同開発では当初から知財弁護士が加わる事。契約では将来の活用まで考えたシビアな交渉をされる事、また自社の要望を明確に記載する事。欧米の審査や異議申立てでは、面接や口頭審理出席等が有効である事、技術流出防止策ではそのメリットを理解して納得してもらうための努力が必要な事。そして警告や訴訟では欧米とアジアでは相手方の対応が相当違う事、ライセンス交渉時には身内間の会話内容に注意する事、面接・裁判等は日本で慣れ、海外も経験して置く事の重要さ等、非常に参考になる点が沢山ありました。 

 

■2017年7月26日:酒井美里様(スマートワークス株式会社代表) 

「ウォーターフォール/工程管理/わかりやすさ etc 特許調査周辺の話」

 7月26日(水)には、スマートワークス株式会社の代表である酒井美里先生をお招きして、特許調査に関する講演をしていただきました。

 特許調査業務における「時間短縮」「ボトルネックの解消」「工程管理」という、通常とは違った切り口からの講演で、大変新鮮で、特許調査業務以外の職務にも十分活用できる内容でした。

 特に、システム開発の項目で述べられた「ウォーターフォール法」や「アジャイル法」は、その内容を把握し、業務に適切に活用できれば、業務の効率化につながる有効な手法であると思います。

 また、「わかりやすい検索」の項目で述べられた「見やすさを向上させるためには、人の視線移動に沿った形でレイアウトする。」という点は、日頃の業務におけるレポート作成にも通じるもので、大変参考になりました。

 講演から得たことを明日からの自身の業務に生かそうと考えた参加者も多かったのではないかと思います。 

 

■2017年5月9日: 中島一浩様(キヤノン株式会社インクジェットコンポーネント開発センター主席)

「ひらめきから発明へ、発明から製品化へ」~キヤノンインクジェット開発者が語る”イノベーションに必要な力”~ 

 今回は、キヤノン株式会社においてインクジェットのキー技術を発明された中島一浩様にお越し頂き、「ひらめきから発明へ、発明から製品化へ」をテーマにお話頂きました。

 信じた事を実現するために、諦めず壁を乗り越えていかれた中島様のポジティブな姿勢に感銘を受けるとともに、技術者も経営者もネアカでなければいけないなと感じました。

 

 また、中島様のお話を聴いて、ふと、勝海舟が述べた「人には余裕というものが無くては、とても大事はできないよ。」という言葉を思い出しました。いま多くの企業が、この余裕というもの(ここでいう余裕とは経済的な余裕というよりも“心の余裕”に近いものではないかと思います)を失ってきているのかもしれません。中島様のお話を、“日本の古き良き時代の話”にはしたくないですね。まずはネアカで行きましょう。

 

■2017年3月7日: 小畑芳春様(特許業務法人 志賀国際特許事務所 技術部 統括部長)

 「 中国知的財産権の活用について」

 今回のセミナーは、日本で最大の特許事務所である志賀国際特許事務所で、国内外の知財業務に携わってこられた技術部 小畑 芳春 統括部長にご自身の経験談も含めてお話ししていただきました。

 まず、各国の知財動向において、中国の実用新案は発明特許より多く出願され、年間出願数は共に100万件を大きく超えて更に増加している事、中国でのトラブルの経験から製造委託先の改良実用新案や意匠出願の存在が怖い事、訴訟においては立証が難しい事、共同出願・共願に関しては、相手はライバルと考え共願をなるべく避け、契約が必要な時は契約が無効にならない様に中国の知財法、契約法等を考慮して作成する事、さらに、技術移転を始めとする契約においては、準拠法が日本の法律であっても、中国法の規制を受ける事、その上権利行使は難しい事等、中国ビジネスに関わる人には是非共聞いて頂きたい内容でした。

 

■2017年1月24日:新井信昭様(新井・橋本・保坂国際特許事務所 弁理士)

 「新刊本『レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカコーラ」どっちが賢い?特許・知財の最新常識』

 (新潮社)発刊に際して」 

 「特許を出願すれば、公開によってアイデア盗用のリスクがある」、我々は今まで知識としては知っていても、ここ強く意識をして特許を出願してきたでしょうか。

 むしろ「特許を出せばひと安心」という意識の方が強かったかもしれません。

 それでは一方で、特許を出さなかったら、どのようなリスクがあるのでしょうか。

 今回は、弁理士の新井信昭先生による新刊本『レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカコーラ」どっちか賢い?特許・知財の最新常識』(新潮社)発刊に際してご講演頂きました。

 このお話を聴いて、本当の意味でのオープン戦略、クローズ戦略を考えさせられるとともに、これからは、その特許を本当に出すべきかどうかを真剣に考える機会となり

ました。

 ところで、この本のタイトルを読んで、「伊右衛門」と「コカコーラ」のどっちが賢いかの答えを 期待しましたか?

この本には、「答は教えてもらうことではなく、自ら考えて導き出すものだという意識を持つべき」ということが描かれています。